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虜にさせるスポーツカー…ポルシェはいつの時代も、どのライバルにも屈しない性能と質感、実用性を兼ね備えている。この“GT3”の魅力は、近頃の水冷モデルに溜息混じりのハートに再び、火を付けるはずだ。しかも、「アンチ水冷」といった料簡の狭い性格ではなく、心からエキサイティングなクルマを具現化したのが、“GT3”である。
コンペティションの血筋…三要素「走る・曲がる・止まる」の素晴らしい各性能と見事なマッチングは、歴代“Carrera RS”の血を実感できる瞬間だ。前期モデルに魅力の荒馬ぶりは時にバリのような感覚に駆られたが、この後期モデルは馬力以上に、トルクが大幅に太くなったこともあり、どのレンジでも存分にパフォーマンスを引き出すことが可能になった。それを受け止める剛性感が高く感じるのは、「カレフォー」ボディを使用しているからか、コーナリングのみならず、RRが不得手な直進安定性も良くなっている。勿論、素のモデルと異なり、エンジンパーツもレースに堪え得る堅牢な造りになっている。究極のファン・トゥ・ドライブと自制心とのジレンマを行き来する、凄腕のクルマなのだ。
リッチな雰囲気…見えない部分にこそ拘り、上品で精悍な佇まいだからこそ、むしろ周囲に「只者ではない」雰囲気を感じさせる。敢えて「らしさ」を感じるのは、リアシートが取り払われ、前期よりも心地良いエグゾーストノートくらいか。専用バケットシートも快適なレベルである。派手なフェンダーやダクトがない分、車歴を重ねた大人が走りに十分、堪能できるクルマが、この“GT3”だ。
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