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ALPINA B10-V8S LIMITED EDITION

SPECIFICATION

ALPINA B10-V8S LIMITED ＥＤＩＴＩＯＮ

究極のスポーツサルーン…一言しか許されないなら、こんな形容が口を衝くはずだ。佇まい、触感、所作などに華美な繕いを施さず、凛とした雰囲気に魅せられる。どうやら、この“Ｓ”の字に込められた意味は、“sports”だけではなさそうだ。“superior（究極の）”、 “super（上級の）”、“senior（至高の）”、“special（秀逸な）”と想像は尽きない。それを堪能できるオーナーは、まさに“limited（限られた）”幸運だと云える。
数段向上した走り…最早、数値を出すことは無粋だが、素の“B10”との200cc・29psの差が、全てで奏効しているようだ。大人らしさが時に、おとなしく感じさせた“B10”とは明らかに加速が違う。それでいて、回転数でパワーと速さを搾り出すような姑息さなど、微塵も伝わらない。この“B10-V8S”には、“ALPINA”の緻密な“Spirit（魂）”が宿っている。ジェントルな“B10”と荒れ狂う“M5”のキャラクターを併せ持つが、この“B10-V8S LIMITED ＥＤＩＴＩＯＮ”である。丸みがありながらも、節度がある操作系は、クルマとの一体感を感じられない最近の高級車と一線を画し、更に制動力とフィーリングが良好なブレンボ製ブレーキにも好感が持てる。以前の高級輸入車にあったような、芯のある走りが楽しめた。
「最近、乗りたいクルマが減った」と溜息をつく、数々の銘車に乗り慣れた諸氏にも、「欲しい」と唸らせてしまうと締め括っておきたい。