トップ > インプレッション > PORSCHE 911 Carrera Cabriolet (964)
PORSCHE 911 Carrera Cabriolet (964)
PORSCHE 911 Carrera Cabriolet (964)
SPECIFICATION
"伝統と解放"
PORSCHE 911 Carrera Cabriolet (964)
ドイツらしい実直さが滲み出ている??何処ぞのルーフを切り取っただけのファッション・カーとは訳が違う。剛性感や操作系、ブレーキの出来栄えなどには、カブリオレであることを忘れさせるような、「さすが、ドイツ車だ」と感心させられるのである。
ドアの音、イグニション??一連の流れはまさしく、伝統の“911”そのものである。このクルマには、外界の喧騒を断ち切り、少々の凛々しさを求めるような儀式があり、最近のような軽々しい「スポーツカー」とは別物である。シートに身を委ねれば、目の前には切り立ったインパネにメーターパネル、三角窓など、お馴染みの光景が広がるのである。レザーの質感や随所の造り込みなどは、時間が経過しようとも、色褪せない魅力を放っているのである。
後方からのポルシェ・サウンド??RRだからこそ、この“Cabriolet”が活きてくる。独特の春雷のようなサウンドに酔いしれるには、クローズドの比ではない。英国紳士の外套姿のように黒幌を纏うも良し、南欧男性のように身も心もオープンになるのも良しのまさに万能なジャーマン・スピリッツが息衝いているといえる。2月の独逸は氷点下に見舞われる日が続くが、好きな音楽をかけ、オープンカーに乗ったごく普通の人達を案外、見掛けることがある。日本人も時に、自分をうまく解放できたらと思う。
尚、当車両は1993年式(走行15000km D車)。正規ディーラーのTipもさることながら、一人のオーナーの手によって、完全車庫保管の上に、雨天未使用で大事にされた証は、外装や黒幌に表れている。このような、まるで時が止まったようなコンディションには、今後なかなか出会えないかもしれない。
- Copyright (C)2003-2004 DAISHO AllRight Reserved -