第二次世界大戦終結後の 1947 年から英国で生産が開始されたオリジナルなランドローバーの直系と言えるモデル。ディフェンダーと名前が変わったのは 1980 年代になってからだ。質実剛健な本格的オフ・ロード 4WD として、世界中から高い評価を得た。
オーソドックスではあるが、すでに旧態化は否めないセパレート・フレームに前後ともコイルスプリングで吊ったリジッド・アクスルを組み合わせる。ランドローバー伝統のオール・アルミニュウム製ボディは、一切の無駄を排したきわめてプリミティブな構成となっている。室内にも内張りや防音のためのインシュレーターなどもほとんど無く、居住性などは無視された格好である。しかし、メカニズムの信頼性とオフ・ロードでの高性能振り、また、様々なアクセサリーを装備しての多用途性はディフェンダーならではのものとなっている。
前後サスペンションにリーフ・スプリングを使った旧型車にも乗ったことがあるが、それから見れば、コイル・スプリングとなった現行モデルの乗り心地と操縦性の高さは比較にならないほど向上している。パワー・ステアリングやブレーキ・サーボなどドライバー補助装置も多く搭載されてはいるが、 NVH (ノイズ、バイブレーション、ハーシュネス)の遮断はほとんど無いに等しく、如何にもマシンを操っているのだと言う満足感は、同じメーカーのレンジローバーなどよりも濃いかもしれない。これも、スポーツ・カーと同様、現在の日本の道路事情では無用の長物となる恐れはあるが、エンスージァスティックな意味からはかなり興味を引かれる存在である。
クロカン 4WD と言えども、スタイリッシュなボディのクルマばかりの昨今、そんな中で無骨なまでに昔の面影を残すディフェンダーは 1948 年に第1号車を発表したランドローバーの歴史そのもと言っても過言ではない名車。都会の中にあって、これほどサファリやジェングルを連想させるクルマはそうざらには無い。ただし、見た目は昔ながらの 4WD でも中身はすっかり現代のクルマでもある。直列 5 気筒 SOHC ・ 2.5 L エンジンに副変速機付きの 5MT のフルタイム 4WD で、ブレーキは前後ともディスクを採用。室内にはカップホルダーやエアコン、 MD オーディオなども標準装備している。
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