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ALFA ROMEO 156 GTA
SPECIFICATION
"ロマニッシェン・アルトを感じたい"
ALFA ROMEO 156 GTA
人間にはアート(芸術)とサイエンス(科学・技術)の性格がある。もしもクルマがそうだとしたら、このイタリア出身のアルファロメオは確実に芸術の前衛に位置するであろう。同じ歴史的運命を辿りながらも、工業製品としてしか自動車を造れない日本とは隔世の感がある。確かに技術大国ジパングゆえに生み出される高精度の自動車は、世界中の好評を博している。しかし、クルマとは本来、直感で判断するものである。背筋が震えるような感動や興奮を、更にはエロスまでも、肌で感じる要素がクルマには不可欠であろう。ショートスパンでモデル・チェンジが繰り返され、個性や伝統の片鱗もない無機質な日本車??こうして、日本に真の自動車文化が育たない理由を、“GTA”を前に実感した。
先ず、この“GTA”の井手達であるが、権威に阿らないところがクルマ好きには堪らない。直感の美から出ずるデザインに、「パッと美しく花開き、華々しく散りゆく、儚い花々」という“パックス・ロマーナ”やルネサンス以来のラテンの息吹を感じられるのである。その抑揚に満ちた稜線は、人間の喜怒哀楽とさながら合致して、訴えかけるものがある。
その走りは、従来のアルファの数段上を行く出来である。特筆すべきは、ブレーキング・フィールである。以前はやや不安な制動を抱えながら、軽快な走りを楽しむのが或る種、御愛嬌のアルファの伝統であった。でも、この“GTA”は今までにないブレーキングという信頼感を得て、良い伝統である軽快な走りを今まで以上に、満喫できるようになったのである。そして、何よりも忘れてならないのが、アルファといえば良く出来たエンジンである。クルマの根本的な条件であるブレーキとエンジンを兼ね備えた数少ない銘車である。これらをフルに使ったドライビングは実に爽快で、日頃の喧騒も忘却の彼方に??。
こうしたことからも、アルファは、芸術的センスに優れ、直感的思考を持っている御方に適している。権威と欲得に翻弄された日本人には頭の痛いコメントかもしれない。考えて欲しい。旧習や現状に囚われない陽気なイタリア人と目の前の危機に立ち竦む日本人を。僕らはアルファとの時間を通じて、現状打破の原動力を蓄えなければならないかもしれない。勿論、素敵な女性を優しいラテン・エッセンスも。尚、当車両は2002年式(走行3000km D車・ワンオーナー)。真紅の口紅のように大人の雰囲気を存分に味わって頂きたい。
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