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果てしない高速安定性…「機敏なGTIの兄貴分で、スパルタンな限定車」くらいな想像を、“R32”は大きく裏切ってくれた。そのフィーリングは、重厚さを凝縮させた高級グランツーリスモを彷彿させるからだ。“R32”は随所に際立つクオリティが判る、大人だけのベストパートナーとなるに違いない。ドイツのアウトバーンから旧市街地の石畳まで、全てをこなす足回りとボディ剛性が、特に印象に残った。
個性的なパフォーマンス…“R32”の由来となる3.2Lエンジン（241ps）は、V6らしい粒の揃った滑らかさが特徴である。それを受け止める軽量ハッチバックと4WDのマッチングには本来のゴルフらしい、小気味よく駆け抜ける面白さもあり、ハイウェイを悠然と走るも爽快感も併せ持っている。調律された現行型とは異なり、篭るような排気音もクルマ好きには好評であろう。
揺るぎない歴史…ドイツ車として世界的なベンチマークを築いたフォルクスワーゲン・ゴルフは、乗り手の満足感と周囲からの認知度も万全である。未だに日本人には分らない社会規範や意識があり、奇を衒った装いや振る舞いがタブーとされる欧州社会だけに、この“R32”の存在感は欧州精神の真髄を貫くクルマだと云えよう。内に秘めるパフォーマンスを堪能する愉しみを、この“R32”はきっともたらしてくれるはずだ。カタログモデルとなった現行型にはない、エクスクルーシブな限定“R32”を満喫する価値は大きいと改めて実感した。
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